いきもの深夜便
あの頃、みんなが熱帯魚をやめた。震災、不景気、電気代、そしてメダカ
ショップの話

あの頃、みんなが熱帯魚をやめた。震災、不景気、電気代、そしてメダカ

書いた人: 管理人(熱帯魚歴30年・元ショップ店員・元卸売業者)

「最近、あの人、来ないですね」

店で働いていると、客の顔ぶれは、少しずつ入れ替わっていきます。初心者のうちは、毎週のように通ってきて、やがて詳しくなって、行きつけのプロショップへ巣立っていく人もいます。それは、自然な流れでした。

けれど、そうではない去り方も、ありました。

「最近、あの人、来ませんね」

同僚と、そんな話をして、しばらくたってから、気づくのです。あの人は、水槽を片づけてしまったのだ、と。熱帯魚そのものから、離れていった人たちです。神戸には、阪神・淡路大震災のあとに、アクアリウムをやめた人が、たくさんいました。

先に結論

  • 熱帯魚をやめた人の理由は、震災で水槽に大変な思いをしたこと、景気の冷え込み、そして電気代の負担でした。
  • コロナ禍で熱帯魚が復活しかけたときも、人が流れた先は、メダカでした。
  • やめた人にとって、いちばん重かったのは、ヒーターの電気代と手間だったと、私は考えています。

震災で、水槽は一夜にして重荷になった

阪神・淡路大震災のあと、神戸には、水槽のことで、大変な思いをした人が、数多くいました。あの経験をきっかけに、アクアリウムを離れた人が、多くいたのです。

景気が冷え込むと、趣味は、生活のあとまわしになる

次に来たのは、景気の冷え込みです。熱帯魚は、生活に必要なものではありません。暮らしが苦しくなれば、趣味にかけるお金は、真っ先に削られます。魚の餌代も、器具の買い替えも、水槽を続けるほどに、じわじわと負担になっていきます。

いちばん重かったのは、電気代

そして、もうひとつが、電気代でした。熱帯魚の水槽は、ヒーターで水温を保ち、照明を点け、ろ過のポンプを動かしつづけます。とくに、水草を育てるための強い照明は、昔は水銀灯やハロゲンが主流で、電気代も、熱も、相当なものでした。

いまのLEDは、昔の照明と比べて、電気代が半分以下になっているのではないか、というのが、私の感覚です(数字を確かめたわけではありません)。

コロナ禍、熱帯魚は復活しかけて、メダカへ流れた

時代は進んで、コロナ禍の2020年から2021年ごろ、家で過ごす時間が増えて、アクアリウムの市場は、いったん広がりました。熱帯魚にも、復活しかける兆しがありました。ところが、そのとき多くの人が移っていった先は、熱帯魚ではなく、メダカでした。メダカは、コロナ禍の在宅時間の増加とともに、急速に人気が広がった魚です。

私自身も、そのころ、水槽をもう一度立ち上げました。選んだのは、90cm水槽の金魚です。理由は、金魚なら、ヒーターがいらないからでした。熱帯魚をやめた人が、金魚やメダカに移ったいちばんの理由は、ヒーターの電気代と手間だったのだと、私は考えています。

その金魚は、のちに、外部フィルターが壊れたのをきっかけに手放して、私は熱帯魚に戻りました。戻ってみると、ヒーターの重さは、思っていたほどではありませんでした。くわしくは、「金魚から熱帯魚に戻ったらラクだった」に書いています。

参考にした情報