いきもの深夜便
卸の現場の水換えは、ホースを口で吸っていた。100本のベアタンクと、飲んだ水の話
ショップの話

卸の現場の水換えは、ホースを口で吸っていた。100本のベアタンクと、飲んだ水の話

書いた人: 管理人(熱帯魚歴30年・元ショップ店員・元卸売業者)

ホースの端を、くわえる

卸の現場の朝は、ビニールハウスの扉を開けて、水槽の前に立つことから始まります。

水槽は100本を軽く超えていて、そのほとんどは、底に砂を敷かない、ベアタンクでした。魚が入れ替わるたびに、水槽は、いったん空にして、リセットします。そのたびに必要なのが、排水です。

私は、口径の大きなホースを、水槽に沈めて、反対の端を、床の排水口へ向けます。そして、こちらの端を、口にくわえて、思いきり、吸い込むのです。

次の瞬間、水が、どっとホースを駆けのぼってきます。うまく吸えれば、あとは、勝手に流れていきますが、タイミングを誤ると、勢いのついた水が、そのまま、口の中に飛び込んできます。

つまり、私は、水を飲みました。それも、一度や二度では、ありません。

先に結論

  • 卸の現場では、大口径のホースを口で吸って、水槽の水を抜いていました。
  • 魚の入れ替えのたびに、水槽の水をぜんぶ抜いて、リセットしていました。
  • いまは、口で吸う方法は、おすすめしません。ポンプ式の道具が、手軽に使えます。

100本のベアタンクを、1本ずつ空にする

ベアタンクは、底砂を敷かない水槽です。砂がない分、汚れが目に見えて、掃除もしやすく、水を抜いて洗い流すのも、手早くできます。魚が入れ替わるたびに、水槽をまっさらな状態に戻すには、うってつけの形でした。

けれど、100本を超える水槽を、1本ずつ空にしていくとなれば、排水の作業も、膨大です。口径の大きいホースは、水がたっぷり流れるので、その作業を、いくらか楽にしてくれました。

サイフォンは、最初の一吸いが、肝心

水槽の水を、ホースで外へ流す仕組みを、「サイフォン」といいます。ホースの中を、いったん水で満たしてやれば、あとは、水が水を引っぱって、水槽より低い場所へ、勝手に流れ出ていきます。

問題は、その「最初の一吸い」です。ホースの中の空気を、どうにかして追い出して、水で満たさなくてはなりません。卸の現場では、それを、口でやっていました。

いまは、口では吸わない

ただし、これは、他人にはおすすめできない方法です。米国の疾病対策センター(CDC)は、水槽や、器具や、飼育水に、人に病気をうつす細菌が含まれていることがあると、注意をうながしています。私は、運よく、何ごともなく済みましたが、いまなら、ポンプ式の道具を使います。灯油ポンプのように、押すだけで、水が上がってくる道具が、安い値段で売られています。

あのころは、ホースをくわえるのが、当たり前の朝でした。いま思い返すと、よく平気だったものだと、苦笑いしてしまいます。

参考にした情報